ロボット塗装の人手不足|設備を動かす仕事と、人の配置を考える
ロボットで塗装していても、部品を取り付ける、外す、仕上がりを確認する人は必要です。もし欠員の穴埋めで熟練者が持ち場を離れているなら、採用で解消したいのはどの作業の負担でしょうか。「塗装を任せたい」で止めず、人が担う仕事を書き出してみると、採用前に確かめるべき点が具体的になります。
- 欠員のある人の作業を、通常運転・条件変更・設備保守に分ける
- 採用する人に任せたい仕事と、指導者の仕事を区切る
- 在留資格上の範囲と、安全教育の要件を確認する
1.増やしたいのは、どの作業を担う人でしょうか
「ロボット塗装ができる人」で募集すると、部品のセットから教示、品質判断、修理まで、期待する範囲が広がりすぎることがあります。いま欠員がある作業と、熟練者に集中してほしい作業を分けることが先です。
- 1塗装前:部品確認・マスキング・治具へのセット
- 2通常運転:操作・監視・取出し
- 3塗装後:外観や膜厚などの確認・記録
- 4別に整理:教示・条件変更・設備の検査や修理
RingHR作成の工程・確認手順の整理図です。各作業の従事可否を示す図ではありません。
| 現場での呼び方 | 相談で具体的に伝えること |
|---|---|
| セット・取出し | どの部品をどの治具へ置くか。可動範囲に入る作業があるか。 |
| ロボットの操作 | 既定の運転操作か、動作の順序・位置・速度を設定・変更するか。 |
| 検査 | 製品の仕上がりを確認するのか、ロボット設備を検査するのか。 |
| 異常対応 | 止めて報告する範囲と、自分で調整・復旧する範囲。 |
この区分は、仕事を説明するための例です。前後の作業だから特定技能で担当できる、という判定にはなりません。製品、作業内容、主に担う業務との関係を確認します。
2.公表事例が教えてくれるのは、設備と人を一緒に考えることです
設備導入の事例|表面処理加工の新工場へ塗装ロボットを導入
設備メーカーの公表事例では、表面処理加工の事業者が2026年4月に塗装ロボット等を導入しています。人材確保・技能継承も背景に挙げられています。
自社での検討に置き換えるなら、設備を入れた後に残る仕事と、それを教える担当者まで考えることが重要です。これは本記事の考察です。
出典:パーカーエンジニアリングの塗装設備導入事例/導入時期:2026年4月。公表資料を紹介しており、RingHRの支援実績を示すものではありません。事例企業名は本文では省略しています。
教育の事例|ロボットを使いこなす担当者を育てる
鈴与商事のボイラメーカーの事例では、装置メーカーの教育を受け、現場で運用方法を蓄積した取組が紹介されています。
「社内にロボットを扱える人材が育ったことです。」
鈴与商事の公表事例「導入を振り返って、特に良かった点」
採用した人へ初日から全てを任せるのか、通常作業を習得しながら担当範囲を検討するのか。教える側の役割を決める際の参考になります。
出典:鈴与商事のロボット導入事例/公開日の記載は未確認/2026年10月15日閲覧。公表資料を紹介しており、RingHRの支援実績を示すものではありません。事例企業名は本文では省略しています。
特定技能人材の事例|繁閑に応じて複数工程を担えるよう育成
JAIM事例集の昇降機等の製造事例には、電気機器組立て・溶接・塗装・機械加工等を担い、複数の仕事へ対応できるよう育成する取組が掲載されています。
出典:JAIM掲載「受入れ事例集」掲載頁38(PDF39頁)/2023年5月時点。公表資料を紹介しており、RingHRの支援実績を示すものではありません。事例企業名は本文では省略しています。
設備導入・教育の事例と、特定技能人材の事例は別の事例です。前者の特定技能人材の配置、後者の塗装ロボット操作は参照資料から未確認です。
「自社ではどうか」が気になった方へ
「全部任せる」まで決まっていなくても構いません。欠員のある作業を一つ教えていただければ、採用で分担したい範囲を整理する出発点になります。 工程相談で伝える内容を見る
3.確認は、在留資格上の仕事と、安全に行う条件の両方です
セット・搬送だけで配属を決めない
工業製品製造業分野の運用要領は、対象業務へ主として従事し、関連業務には付随的に従事するという考え方を示しています。
「専ら関連業務に従事することは認められません。」
法務省・経済産業省編「工業製品製造業分野の運用要領」14頁【業務内容】(令和8年6月25日一部改正)
自社の計画では、通常の一日に誰が何を担うかを示します。ロボットを使うことだけでも、塗装の前後の作業ということだけでも、対象性は決まりません。
参照:JAIM「工業製品製造業における特定技能外国人受入れに関するFAQ」Q2-1-1・Q4-1(令和8年9月18日時点版)。FAQは制度運用の解説資料として参照しています。
通常の運転操作と、教示・設備の検査等を分ける
労働安全衛生規則第36条第31号・第32号は、所定の産業用ロボットの教示等や、運転中に可動範囲内で行う検査・修理・調整等を特別教育の対象に定めています。可動範囲内で作業する人と共同し、範囲外から機器を操作する業務も条文上の対象に含まれます。作業・設備の条件と除外条件まで確認が必要です。
「学科教育及び実技教育により行うものとする。」
安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)第18条第1項
操作という社内の呼び方でまとめず、設定・変更・確認を行うのか、可動範囲に入るのかまで、安全衛生担当者や設備メーカーと照合します。在留資格上の範囲と、必要な安全教育は、それぞれ確認します。
公式資料:労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第35条、第36条第31号・第32号、第150条の3~第150条の5/安全衛生特別教育規程 第18条・第19条。
4.熟練者の仕事を、どこまで分担したいか決めます
| 採用・配置の検討項目 | 現場と決める内容 |
|---|---|
| 任せたい通常作業 | 対象性を確認する作業について、手順・習得基準を示す。 |
| 指導者へ確認する仕事 | 条件変更、品質の良否、異常原因など、判断の境目を示す。 |
| 止める・報告する基準 | どの状態で止めるか、誰に報告するかを実演で確認する。 |
| 教育の負担 | 誰がいつ教えるか。習得中に不足する作業を誰が補うか。 |
JAIM FAQ Q2-4-1・Q2-4-2・Q4-3-2は、新しい技能を要する業務の訓練・研修について説明しています。本人の経験を確認し、自社設備での教育内容へ落とし込みます。「何人採るか」と一緒に、「誰のどの仕事を分担するか」まで決まると、募集条件も具体的になります。
参照:JAIM「工業製品製造業における特定技能外国人受入れに関するFAQ」Q2-4-1・Q2-4-2・Q4-3-2(令和8年9月18日時点版)。FAQは制度運用の解説資料として参照しています。
5.自社の塗装ラインを相談する
セット、取出し、製品の検査、条件設定。特に人手が足りない作業を一つ教えてください。「ロボット塗装の記事を見た」と添えていただくと、確認したい点が伝わりやすくなります。
ご相談は、この3点から
何を製造しているか、お知らせください。
作業の内容をお知らせください。
いま困っていることをお知らせください。
人とロボットの担当を、普段の言葉でお書きください。運転操作と条件変更の区別がつかない場合も、分かっている作業内容から伺います。
相談では、任せたい仕事と採用ニーズを整理し、追加で確認する条件、教育・配置で詰めたい点を明らかにしていきます。初回から図面、取引先名、個人の在留カード画像を送る必要はありません。
RingHRでは、工程と採用ニーズの整理からご相談を承ります。在留資格の個別判断や申請業務が必要な場合は、行政書士事務所YellowTailでの受任範囲・費用を別途ご案内します。人材紹介・登録支援と申請業務は、契約内容を分けて確認します。
対象は特定技能1号・工業製品製造業分野を中心とする解説です。資料確認日:2026年10月15日。公表事例は各掲載時点の内容です。実際の採用・配属・作業変更は、最新資料、事業所・製品・担当業務、本人の在留資格・技能、教育・安全体制を個別に照合して判断します。

070-8515-6545