製造業の採用再検討|過去の回答と、いまの工程を照合する
数年前に「この工程は難しい」と言われ、それ以来、外国人採用を検討していない。その一方で、欠員や残業は解消していない。こうした場合は、当時の回答と、いま任せたい仕事の条件を並べるところから始めます。以前の判断を否定するためではなく、現在の採用計画を考えるために、同じ条件と変わった条件を確かめ直します。
- 過去の「難しい」が、何を理由とした判断だったか
- 現在の制度・製品・仕事・本人の条件をどう照合するか
- 採用を再検討するか、配置や教育を先に見直すか
1.「前に断られた」という結論だけでは、次の判断ができません
過去の回答が、制度上の対象業務についてだったのか、工場や製品についてだったのか、本人の経験や教育体制についてだったのか。その違いで、次に調べることは変わります。
| 当時の説明 | 今、比べること |
|---|---|
| その職種・業務には就けない | 当時の在留資格と作業、現在の在留資格・業務区分 |
| この工場・製品は対象にならない | 現在の事業所の製造品・製造活動 |
| 補助作業だけになる | 予定する一日の仕事と、主に担う業務 |
| 本人に技能がない・教えられない | 本人の試験・実習歴・経験、教える人と習得の確認方法 |
理由を覚えていなければ、「不明」のままでも、いま任せたい仕事から整理を始められます。以前の担当者や紹介会社を責めるための確認ではありません。現在の人手不足に対し、採用・配置の検討を進める材料を集める作業です。
2.公表事例には、担当範囲を見直す手がかりがあります
公表事例①|業務区分の統合後のプレス加工・塗装・仕上げ
JAIM事例集の自動車部品製造の例では、主な業務が金属プレス加工の人材について、統合後の範囲が説明されています。
「塗装、仕上げへの従事も可能になった。」
JAIM掲載「受入れ事例集」掲載頁42
当時の区分や職種名が理由だった場合は、現在の範囲を確かめ直す入口になります。ただし、別の工場や仕事へそのまま当てはめることはできません。
出典:同事例集 掲載頁42(PDF43頁)/2023年7月時点。公表資料を紹介しており、RingHRの支援実績を示すものではありません。事例企業名は本文では省略しています。
公表事例②|ダイカストに加え、段取り・機械検査を担う
ダイカスト製品製造の事例では、主業務がダイカストの人材が金型段取り・機械検査にも従事し、制度の範囲内で複数工程を担う取組が紹介されています。
自社で考えたいのは、「今の担当者に、どの前後工程まで担ってもらいたいか」です。役割が変われば、必要な技能と教育も一緒に確認します。
出典:同事例集 掲載頁40(PDF41頁)/2024年8月時点。公表資料を紹介しており、RingHRの支援実績を示すものではありません。事例企業名は本文では省略しています。
「自社ではどうか」が気になった方へ
昔の資料が一式そろっていなくても構いません。「いつ頃、どの作業が難しいと言われたか」と、現在の欠員工程から確認を始められます。 工程相談で伝える内容を見る
3.制度が変わったという話と、自社で任せられるかの判断を分けます
業務区分だけでなく、工場と製品も照合する
JAIM FAQ Q2-1-1・Q4-2-1・Q4-2-2は、事業所や製造品、新たな製造品のラインに関する確認を説明しています。過去の職種名だけで止めず、現在の製品と担当業務を照合する必要があります。
事業所の対象産業の根拠は、令和4年経済産業省告示第127号第2条です。制度の対象が広がったというニュースだけで、どの工場でも、どの作業でもできるとは判断しません。
公式資料:令和4年経済産業省告示第127号 第2条(最終改正:令和8年5月8日)。更新情報の確認先:経済産業省「受入れ対象分野・業務区分」。
参照:JAIM「工業製品製造業における特定技能外国人受入れに関するFAQ」Q2-1-1・Q4-2-1・Q4-2-2(令和8年9月18日時点版)。FAQは制度運用の解説資料として参照しています。
補助作業だけの配置という課題は、名称を変えても残ります
「専ら関連業務に従事することは認められません。」
法務省・経済産業省編「工業製品製造業分野の運用要領」14頁【業務内容】(令和8年6月25日一部改正)
以前の回答が、関連業務だけを担当する計画だったことに基づくなら、求人票の名前を変えるだけでは解消しません。一日の仕事と、主に担う対象業務の実態を整理します。
教育の問題が残るなら、採用条件と受入れ準備を見直す
JAIM FAQ Q4-3-2には、同じ「機械金属加工」区分内で、新しい技能を要する業務へ従事する際の訓練・研修の説明があります。制度上の範囲を確認した後も、自社設備の操作、品質基準、異常時の対応を教える体制が必要です。
参照:JAIM「工業製品製造業における特定技能外国人受入れに関するFAQ」Q2-4-1・Q2-4-2・Q4-3-2(令和8年9月18日時点版)。FAQは制度運用の解説資料として参照しています。
4.再検討の結果を、採用・配置の判断に使います
- 1当時の時期・理由を分かる範囲で記す
- 2今の製品・作業・担当予定者を整理する
- 3現在の制度と照合し、不明点を確認する
- 4採用・配置・教育のどこを進めるか決める
RingHR作成の工程・確認手順の整理図です。各作業の従事可否を示す図ではありません。
確認後は、「このまま採用条件を詰める」「仕事の組み方を見直す」「教育担当を決めてから再検討する」など、次の動きを分けます。何をすればよいかが分かれば、人事と現場で同じ課題を話せます。
再確認する価値は、必ず採用できると分かることではなく、検討を止めている条件を具体的にすることです。以前と同じ理由が残る場合も、その内容を基に、求人の範囲や別の役割分担を考えられます。
5.以前難しいと言われた工程を相談する
当時の説明が曖昧でも、いま困っている工程からで構いません。現在の採用・配置を考えるために、何を確かめ直すかを整理しましょう。
ご相談は、この3点から
何を製造しているか、お知らせください。
作業の内容をお知らせください。
いま困っていることをお知らせください。
以前の回答の時期と理由は、覚えている範囲でお書きください。記録がなければ「不明」で構いません。まず現在の作業から伺います。
相談では、任せたい仕事と採用ニーズを整理し、追加で確認する条件、教育・配置で詰めたい点を明らかにしていきます。初回から図面、取引先名、個人の在留カード画像を送る必要はありません。
RingHRでは、工程と採用ニーズの整理からご相談を承ります。在留資格の個別判断や申請業務が必要な場合は、行政書士事務所YellowTailでの受任範囲・費用を別途ご案内します。人材紹介・登録支援と申請業務は、契約内容を分けて確認します。
対象は特定技能1号・工業製品製造業分野を中心とする解説です。資料確認日:2026年10月15日。公表事例は各掲載時点の内容です。実際の採用・配属・作業変更は、最新資料、事業所・製品・担当業務、本人の在留資格・技能、教育・安全体制を個別に照合して判断します。

070-8515-6545